「就寝の3時間前までに夕食を済ませましょう」とはよく聞く健康法ですが、これを毎日実践するのは難しい、という現代人が多いのが現状です。
「残業などの理由で、どうしても夕食が遅くなる日は避けられない。
でも、夜遅い時間に夕食を食べると太りそうだし、健康にも悪そう……。」
そんな悩みを抱える現代人が多いようです。
しかし実は、現時点において「夜食だけで太る」という統計的なデータはほとんど存在しないのだそうです。
夜食で太る可能性として考えられるのは、何をどう食べるかという食べ方の問題や、不規則な生活、慢性的な睡眠不足などです。
そこでこの記事では、太りにくく、生活習慣病の予防やダイエットにもつながるおすすめの夜食メニューを紹介します。
遅い時間に夕食を食べるならどんな夜食が良いのか、なるべく避けた方が良い食べ物リストなどを知っておくと、夕食が遅くなる日でも安心です。
太らない夜食の鉄則ルール6つとは?
太らないために守りたい夜食のルールは以下の6つです。
- 糖質を控えめにする
- 脂質を控えめにする
- 食物繊維を摂る
- 消化の良いメニューにする
- たんぱく質を摂る
- 温かいメニューを取り入れる
糖質・脂質は控えめにしよう
活動量が少ない夜遅くの時間に脂質や糖質を摂ると、体内に脂肪としてため込まれやすくなると言われています。
また、夕食が夜遅い時間になると、空腹時間が長くなっているために、夕食時の血糖値が急上昇しやすくなります。
血糖値は糖質を摂り過ぎることでも急上昇するため、空腹状態の夜食で糖質たっぷりの食事を摂ると、糖尿病などの生活習慣病や肥満につながりやすくなります。
このようなことから、夜食での糖質と脂質は控えめにするのが太らないコツです。

消化しやすい食物繊維を食べよう
食物繊維を食事の最初に摂ると、血糖値の上昇を緩やかにする効果があります。
また、便秘の予防にも効果があり、夜食で太らないためには食物繊維を取り入れるのがおすすめです。
ただし、夜遅い時間に繊維のかたい野菜や不溶性食物繊維の多い野菜を食べると、消化に負担がかかり、睡眠の質を下げてしまう可能性があります。そのため、夜食ではゴボウやサツマイモなどは摂り過ぎない方が良いでしょう。
夜食におすすめなのは、水溶性食物繊維の多いもずくやわかめなどの海藻類や、繊維がやわらかい野菜です。
これらを細かく刻んだり、柔らかく煮たりすることで、より消化しやすくなります。
また、よく噛んでゆっくり食べることも大切です。消化をよくするだけでなく、満腹感を高めて食べ過ぎを防ぐ効果や、血糖値の上昇を緩やかにする効果もあります。

たんぱく質を摂ろう
筋肉の材料となるたんぱく質は、代謝を上げて、痩せやすく太りにくいからだづくりをするために大切な栄養素です。
成人が1日に摂るたんぱく質の推奨量は、女性がおよそ50g、男性がおよそ60gです。
たんぱく質は肉や魚、卵、大豆製品、乳製品などに豊富に含まれています。
夜食には、脂質が少なめの赤身肉や鶏ささみ、白身魚、豆腐、卵などが特におすすめです。

温かいメニューを取り入れよう
夜遅い時間の食事には、スープなどの温かいメニューを取り入れましょう。
体を内臓から温めて冷えを取り除く他、消化機能を高める効果があります。また、温かいものを食べることでリラックス効果もあります。
このような夜食を食べることで、体を温めてリラックスするとともに、胃腸の負担を少なくして快眠につなげることができます。
また、夜遅い時間の過食を防ぐことで、朝は空腹状態で目覚めることができ、日中の活動に必要な朝食をしっかり食べる生活サイクルができます。
15分で完成!夜食におすすめの簡単レシピ5選
ここでは、上記のルールを満たすおすすめの簡単レシピを紹介します。身近な食材でできるメニューを揃えました。
鍋料理

魚介や豆腐、野菜たっぷりの鍋は、低糖質・低脂質で夜食にぴったりのメニューです。ごはんが食べたい時は、シメに少な目のごはんで雑炊にするのがおすすめです。
- たらや鯛、ほたてなど好みの魚介類と豆腐、白菜、青菜、ネギを食べやすい大きさにカットする。
- 好みの鍋だしと水を鍋に入れて火にかけ、沸騰したら①を入れて火が通れば完成。
わかめと卵のにゅうめん

一束が少量で長期保存できるそうめんは夜食に取り入れやすい食材です。ホウレンソウなどを加えるとよりヘルシーになります。
- 乾燥わかめを水で戻し、小さくカットする。
- そうめん一束を表示時間通り茹でて器に盛る。
- だし汁を沸かして溶き卵1個を加え、軽くかき混ぜる
- ③を②にかけ、わかめをのせて完成。
ツナ缶のトマトスープ

トマトジュースを使ってスピーディーに作るスープです。より脂質を抑えたい時は、ツナ缶は油漬けタイプでなく水煮タイプを選びましょう。
- キャベツ、人参、ピーマンを食べやすい大きさにカットする。
- 鍋に水、コンソメを入れて火にかけ、沸騰したら野菜を入れて柔らかくなるまで煮る。
- トマトジュース(無塩)、塩(または塩麹)、ツナ缶1缶を加えて味を整えて完成。
ささみシチュー

淡泊なささみを使ったシチューです。
- ささみ1~2本は筋を取り、1㎝角にカットする。
- キャベツ、玉ねぎ、人参を食べやすい大きさにカットする。
- 鍋に水、コンソメを入れて火にかけ、沸騰したら野菜、ささみの順に入れて火が通るまで煮る。
- 牛乳(または豆乳)、塩を加えて味を整え、水溶き片栗粉を加えてとろみをつけて完成。
もずくと卵の雑炊

胃によいと言われるフコイダンが豊富なもずくを使ったやさしい雑炊です。ホウレンソウやしょうがのすりおろしなどを加えるのもおすすめです。
- もずくは食べやすい長さにカットする。
- 鍋にだしを入れて沸かし、沸騰したらお茶碗軽めに1杯分のごはん、もずくを入れる。
- 溶き卵1個を加え、全体を軽くかき交ぜて完成。
夜食にまつわる4つの悩みを解決!
夜食にまつわるよくある悩みの解決方法を紹介します。
食材がない時の対処法
夜食向きの食材は、コンビニで買えるものも多くあります。
たんぱく質を摂るには、チキンサラダや卵、豆腐、豆乳、加工済の魚などがおすすめです。
最近は、「鮭の塩焼き」や「さわらの西京焼き」など、レンジで温めるだけのヘルシーな魚料理がコンビニでも買えるようになりましたね。
野菜類を摂るには、コンビニでも買えるキャベツやピーマンなどの生野菜の他、トマトジュース、冷凍コーナーのホウレンソウやブロッコリーなども便利です。
味付けにはコンソメや味噌、プチっと鍋シリーズなど、いくつかバリエーションを揃えておくのがおすすめです。
他に、ワカメやツナ缶、そうめんなどの日持ちがする保存食を常備しておくと良いでしょう。
夜食と一緒にお酒を飲みたい時の対処法

「夜遅い時間にどうしてもお酒が飲みたい!」
そんな時は、糖質が少ないお酒を選びましょう。
焼酎やウイスキーには糖質が含まれていません。
次いで糖質が少ないのはワインです。ただし、甘口ワインの糖質量は、辛口に比べると少し多くなります。
日本酒やビールは糖質が多めです。
お酒の量は1~2杯を限度に、飲み過ぎには注意しましょう。
夜食を食べ過ぎてしまう人におすすめの対処法
夕食の時間が遅くなり、空腹感からガッツリ食べてしまう人におすすめなのが分食です。
たとえば夕方におにぎりを1~2個食べておくことで、夜食の食べ過ぎを抑えることにつながります。どうしても甘いものが欲しい時には、おにぎりの代わりにドライフルーツ、シリアルバーなどもおすすめです。
分食をしたら、夜食ではおかずのみを食べるなどの調整を忘れないようにしましょう。
夜食で甘いものが食べたい時の対処法
「夜食でどうしても甘いものが欲しい!」
という時はどうすれば良いでしょうか?
無理に我慢してストレスになるのもつらいですが、いつも甘いものを夜食に食べていては体に良くありませんよね。
そんな時は、甘いものを食べても良い日や、食べても良いものを決めておくなど、自分でルールを作って対処するのがおすすめです。
基本的にほとんどのスイーツは脂質と糖質が多いので、夜食に向いているとはいえません。
自然な甘みの甘栗や果物を食べる他、どうしてもスイーツが欲しい時は、コンビニなどにも売られている“低糖質スイーツ”を食べるという方法もあります。
また、心理的に甘みを感じやすいとされる“ピンク色”のお皿を使うのもひとつの方法です。

【時間栄養学】夜食が太りやすいと言われるのはなぜ?
「時間栄養学」とは、何をいつ、どのくらい、どのように食べるのかを考える栄養学です。
同じ食べ物であっても、食べる時間帯やスピード、食べる順番によって栄養学的な効果は変わってきます。
先ほどもお伝えしたように、夜遅い時間に摂る糖質や脂質は体脂肪として溜まりやすいと言われています。
また、夜食をガッツリ食べると、朝は空腹感がなく、朝食を抜きやすくなります。
朝食なしで昼食を食べた場合は、食後血糖値が急上昇しやすくなります。
こうした生活を続けていると、やはり太りやすく、生活習慣病にもなりやすいといえます。
一方で、夕方におにぎりなどの分食をしておき、夜食では糖質と脂質を控えめにした軽めの食事をしておけば、朝は空腹状態になり、朝食をきちんと食べることができます。
朝食や昼食では、体を動かすエネルギー源となる糖質や脂質を適度に摂ると、トータルでの栄養バランスも良くなります。
このような食生活を心がければ、夜食太りを防ぐことができ、生活習慣病の予防やダイエットにもつながります。
女性はお菓子と果物、男性はお酒の摂り過ぎに注意!

「食事代わりにお菓子を食べる」
「いつも寝酒が欠かせない」
そんな人もいるかもしれません。
しかし、こうした食生活を続けることにはやはり健康リスクがあるようです。
順天堂大学で実施された糖尿病患者50人を対象にした調査では、以下のことが分かったそうです。
・女性の肥満者は、総摂取エネルギーに対してお菓子や果物の比率が高い
・男性の肥満者は、総摂取エネルギーに対してお酒の比率が高い
特に、これらを夜遅くに摂り過ぎると肥満につながりやすくなるので注意しましょう。


夜食でなるべく避けたい食べ物リスト
肥満や生活習慣病を予防するために、夜食でなるべく避けたい食べ物をまとめました。
- 揚げ物類(唐揚げ、天ぷらなど)
- 糖質・脂質が多いもの(丼ぶり、ラーメンなど)
- 脂肪の多い肉類(豚バラ肉、牛カルビ肉、ベーコンなど)
- ジャンクフード(ハンバーガーなど)
- お菓子類(スナック、ケーキ、チョコレートなど)
- 消化に時間がかかる野菜(ゴボウ、さつまいもなど)
- キンキンに冷えた飲み物
- 清涼飲料水
冷たいものを摂り過ぎると胃腸の機能を低下させる可能性があります。
また、スポーツドリンクや炭酸飲料などの甘い清涼飲料水には糖質が多く含まれているので、夜食にはお茶や水がおすすめです。

まとめ
夕食の時間が遅くなっても、何をどう食べれば良いかを知っておけば、ダイエットや生活習慣病の予防につながる食事ができます。
食生活は、日中の仕事や学習のパフォーマンスを高めるためにもとても大切です。
体にやさしい簡単な夜食メニューや分食で、夜食の悩みを解決しましょう!
自分で料理を作るのが面倒という方や、作る時間もない!という場合は、糖質が低く設定されている冷凍弁当を冷凍庫にストックしておいて、食べたいときに電子レンジで温めればすぐに食べられるので便利です。

また、1食当たりの糖質量が4g程度のメニューもあるナッシュの冷凍弁当も夜食におすすめです。
糖質控えめでも食べ応え充分の夜食が食べられます。



